2005年02月12日
■ Service Learning Story 1

MBAコースの課題のひとつとして「Service Learning」というものがある。Serviceする事から学ぶ。要はボランティアだ。
私の在籍するMBAコースでは、とりあえず20時間のボランティア活動が課される。場所はリストから選ぶのだが、職種は学校から囚人センターまで様々だ。
私がMBA仲間であるインド人の友達と共に そのボランティア先として選んだ場所、それは教会が運営する学校だった。正直、囚人相手に中途半端な英語を話す度胸もない、更には中学生・高校生に 英語の不理解から 間違った事を教える心配もある。その点、今回選んだ学校は、地域の子供たちに勉強する場を提供するために設立・運営されているもの。子供達とゲームやパソコン、スポーツを教えながら共に楽しみ、そして学校の宿題の手伝いをするのが仕事だ。英語を国語とするインド人と一緒なら何も心配する事はない。
しかし、その考えはどうやら甘かったようだ。その学校に登録を済ませ、そして改めてポリシーを読む。その学校の運営目的とは、「地域犯罪・悪環境から子供達を保護し、彼らに勉強・スポーツなどができる、"最低限"の環境を提供する」 ことだ。何やら引っかかる言い回しだ。胸に少々の期待と爆発寸前の不安を抱えながら、我々はその学校に向かった。
最初に目に止まったもの。それは周辺の治安の悪さだ。シカゴは全米でも犯罪件数が不動の一位というだけあって、治安の悪い場所は、冗談抜きでとことん悪い。その学校の位置する地域、それは治安の悪さをあからさまに主張しているような地域に見えた。聞くと、先日もタクシーの運転手が突然射殺されたらしい。生きて帰れるかな。。。 インド人の友達がポツリと言った。
学校にようやく到着した。正確には、到着した"ようだ"だ。書類に記載されている住所には着いているのだが、学校らしき建物が見つからない。数分の後、ひとつの建物から大勢の子供たちが出てきた。その建物は、とても学校には見えない。近づきたくない。治安の悪さを代表するような建物だ。恐る恐る建物に入る。こういう言い回しをすると、中は意外ときれいで明るかった、という展開になるのが一般的なのだが、事実、中は建物の外観よりひどかった。古さと建物自体の構造の脆さが痛々しい。日本なら間違いなく建築基準法に反している。
建物の中では、責任者の女性が建物内を案内してくれた。と言っても、建物内には部屋はわずか3室しかないのだが。奥のバスケットボールコートを見せてくれた。凄まじい。わずか20畳にも満たない小さなコートに30人以上の子供がひしめき合っている。ボールが下に転がるスペースすらない。どこにボールが落ちても子供がいる。落ちてきたボールをそのままリングめがけて投げるだけだ。そしてコンピューターラボ。パソコンは全て教会に寄付されたものだという。数が少ないため、子供達は時間制で交代に使っている。正直、パソコンに関してのレベルは、日本の同年齢の子供達の比ではない。みんな自分でゲームでもE-mailでも何でもこなす。この点は、私がアメリカにいて常に感心する点だ。このような環境の悪い地域で育っている子供達ですら このレベルの高さなのだ。そして案内・説明は終了した。
不安は未だ消えず。しかし、やってみなければ何も始まらない。3日後のボランティア開始を約束し、学校を後にした。
アメリカでは貧富の差が半端ではない。わずか3%の国民が全国民の財産の97%を所有している。つまり97%の人間が残りの3%の財産を所有しているのだ。この地域に住む人の全てが貧しく、犯罪と同居しているわけではない。少なくとも、この学校に来る子供達、またその両親は、豊かな教育・生活環境を望み、そして努力しているはずだ。ここでの経験が私の将来にどう影響するのかはわからない。しかし日本で得られるものではない。大学で会計・経営を学ぶだけではないMBAの深みに、今はただ足を踏み入れ始めたところだ。



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